戦争の記憶―日本人とドイツ人 (ちくま学芸文庫)



戦争の記憶―日本人とドイツ人 (ちくま学芸文庫)
戦争の記憶―日本人とドイツ人 (ちくま学芸文庫)

ジャンル:歴史,日本史,西洋史,世界史
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熱い

まず著者、訳者に拍手。熱意に感服しました。過去を直視・批判するドイツ人。曖昧なままの日本人・・・といったイメージでしかなかった事が事実であることを強く認識させられた。やはりドイツの話が多いが(6:4)、私にとっては日本のことでも新事実がかなりあった。長崎市長銃撃、花岡事件等。ドイツでも日本でも現場に足を運んで綴った文章に読んでて熱くなりました。

この本を読み始めて強くひきつけられた一節は、著者が本書を執筆することを友人(ドイツ人)に話し彼にいわれたこと『あまり日本人との共通点を強調しないでくれ』心底日本人とは違ってほしいご様子・・・
アンゲルス・ノーヴス

原題はThe wages of guiltである。ドイツ人と日本人が取り上げられてはいるが、けっしてそのメンタリティの共通性をとりあげて戦争責任を追及したりする内容ではない。「加害者として裁かれた」2つの国の「その後」が浮き彫りにされていく。
といっても、共通点はある。「事実を語ること、あるいは事実を語られること」に対する2国の人々の(方向性は様々ではあるが)過剰なまでの反応のしかたである。

著者は言う。「社会が開かれて自由に過去を振り返る、それも犠牲者でも加害者でもなく『批評者』の視点で振り返ることができるようになってはじめて、(過去という)亡霊は安らかに眠れるのである」と。
ところが私はそこに書かれた「事実」に対して少なからず動揺してしまった。戦後生まれでありながら、やはり日本人である。自分でも意外なくらい過剰に反応してしまった。(加害者であったことをつきつけられて気分がいい人間がいるはずがない)かなりリベラルな頃の戦後民主主義教育をうけてきたはずの世代の私でさえ、ノーマルな反応ができなかったのである。しかし、だからこそ、それ(批評者の視点で振り返ること)は必要なのだ、と私は結局納得させられてしまうことになる。著者は責任をあげつらうのではなく、過去をいかに克服し、よりよい未来に向かうのかを必死に指し示そうとしているからである。
「過去から神秘性を取り払い、首尾一貫した出来事の連続として過去を見直し、それらの出来事を批判的に説明、評価するのは歴史学者の仕事である」と著者は本著の中で言及している。そういう意味では本著は「その後」の歴史書であるとも言えると思う。

印象的な1節を引用しておきたい。
「個人であれ群集であれ、歯止めのない権力は残虐性を導き出すものだ」

自分で自分の姿をみるのは結構むずかしい。これからの私たちのためにも、私たち以外の人たちのためにも、外からみた人たちからの指摘には、とりあえず素直に聞く耳をもっていたほうがいいような気がする一冊。



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