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戦争で死ぬ、ということ (岩波新書)
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| ジャンル: | 歴史,日本史,西洋史,世界史
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| 人気ランキング: | 193525 位
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理屈ぬきで戦争の残酷性を感じ取れる一冊
戦争では多くの人命が失われる。が、どのようにして? 爆弾や銃で殺される、などと書かれていてもリアルなイメージは浮かんでこないだろう。本書は生々しいまでの表現を用いて、戦争で人が死ぬということをリアルに読者に訴えかけてくる。
原爆投下で多くの人が焼け死に、水を求めてさまよったという記述は良く目にするが、「慌てて避難所へ駆け込んできた女性が負ぶっていた多くの赤ん坊の頭は爆風で吹き飛んでなくなっていた」「急に走り出すなんてものじゃない。ジグザグに走ったかと思うと立ち止まって叫んだり。気が狂った人がたくさん出た」などという戦争体験者の語りをありのまま伝えるその内容は他書には見られない生々しさを持って読者に戦争の悲惨さを問いかける。
また、被爆国という戦争の傷跡を持つ日本ではあるが、その日本が戦時中「マッチ箱の大きさでアメリカを吹き飛ばせる爆弾」として原子爆弾の製造を必死に追及し、国民もその完成に向け喜んで鉱物採掘に従事していたなどの記述も過去の新聞資料などとあわせて紹介されている。
戦争は人が死ぬ。人は戦争でキレイに死ぬなんてことはできない。やっちゃいけないものはいけない。そう理屈抜きで訴えかける本書は是非多くの人に読んでもらいたい。
強靭なる反戦の所以
日本社会の右傾化や脱「戦争アレルギー」などが言われるようになって久しい。
しかし一方で、そのような時流にはあくまで反対し、徹底的に抵抗する覚悟の定まった反戦の流れもまた、日本社会の中には確実に存在している。この確固たる反戦の拠って立つ基盤は何なのだろうか。
それが実は、本書のタイトルともなっている「戦争で死ぬ」ということのリアリティである。日本の反戦が強靭な芯を持っているとすれば、それは空襲や原爆などによる受動としての戦争死だけでなく、勝ちに行った戦場で他者を殺し、敗走の途上で殺され斃れゆく戦争死、銃後の砲兵工廠やウラン鉱・毒ガス工場での労働が生産する戦争死などがリアルに経験され、しかもその戦争死を正当化するロジックが現在に至るまで破綻したままである、という点に求められる。
(ドイツが「ヨーロッパ」というファンタスティックな共同体によって戦後の軍事行動を正当化し得たいっぽう、日本が「アジア」で同じ行動を正当化できたか否か、考えてみよ。)
本書が報告しているのは、正当化という名のファンタジーに包まれることのない剥き出しの膨大な戦争死である。登場する人々に共通するのは、死者の死を他人事ならずして経験し、自らの内に引き受けているということであろう。リアルな戦争死を3人称化せずにいる人々の反戦は、時流とは無関係に屹立する。1人称複数で語られるこうした非業の戦争死が、もしすべて他人事として語られるようになれば、おそらくその時、歴史は振り出しに戻るのであろう。
「死者を忘れない」もしくは「死者とともに生きる」とはどういうことか。それが、本書を読了した読み手に突きつけられる課題となる。
戦争賛美者は、戦争の血なまぐさい実態を知った上で勇ましい声をあげよ!
現在に日本人の大半は戦場を見たことがなく、原爆や大空襲・アジア諸国の戦地等大量に人が死んだ現場を知る人は更に少ない。 その筆舌に尽くし難い惨状を目の当たりにした人で、今自衛隊という名の日本軍を外国に派遣せよと言う人を私は知らない。
本書終盤の9・11によりWTCで働いていて死んだ人の父は、アフガン空爆に対し「せがれは事件に巻き込まれたが、さらに、関係のない人たちが命を失うのには耐えられない。日本は米国の腰ぎんちゃくになる必要はない。テロの背景にある貧困の解消などほかの手だてを考えるべきだ。」と新聞にコメントし、墜落したUA93便に搭乗していた唯一の日本人大学生の親友は、「たぶん、僕らが憎むのは簡単なんですよ。『イスラム教嫌いや』と短絡してしまうことはすごく簡単。だからこそ、いまここで、憎むのをとにかく止めようと。そして、どうすればこういう悲しみをなくせるかを考えはじめようと」と筆者に語る。
N.Y.でも多くの遺族がアフガン・イラクへの攻撃に反対しているニュース映像を見た人もいよう。
短絡的に仇討ちの発想を人は持ちがちであるし、戦時になれば冷静に考えられず、大きな流れに押し流されてしまうからこそ、その一歩手前の今こそ、その流れを食い止めねばならないのだと思う。
戦時中、軍国少女であった芹沢氏はその理由を教育者が戦争を正当化し、報道が戦争に都合の悪い事実は伝えず、家庭の中にも戦争反対の雰囲気がなく、個人的には読書量が少なく物事を深く多面的に考える習慣がなかったこと等をあげる。
今という時代を、労働者が切り捨てられていく現状をルポした著作が何冊かある筆者らしく、現在の労働条件の悪化を戦前と結び付けるが、まさしく今は戦前であると多くの人が想像し、バーチャルでない血なまぐさい実際の戦争をイメージできなければ、またこのまま惨劇は繰り返されるであろう。
正しい選択への足がかり
日本には「敵対してる」と言えるような国があり、また多くの国々を敵に回してしまっている大国との固い同盟関係がある。
そういう事実がある限り、自分たちが戦争と無関係だと考えるべきではない。
多くの人たちは戦争を望まない。
だったらどうしたらそれを回避できるのか、もっともっと真剣に考える必要がある。
この著者は戦後生まれ、つまり我々と同様に戦争を知らない。
そして彼女は「戦後生まれの自分の感性だけを羅針盤として」この本を書き上げている。
だから著者と読む我々との間には戦争を知っている世代と知らない世代との隔たりがない。
彼女は、戦後生まれのものが未来のことを考えるときの手がかりとして、この本を書いている。
「未来のことを考えるときの手がかり」とはどういうことか?
簡単に言ってしまえば、戦争を拒むか否かということを判断するための手がかりということである。僕たちは戦争を望まない。しかしその一方で、現在の国の流れを考えれば、少しずつ戦争に近づいていることは否定できないのだ。
難しい話だと言って避けてる場合ではないと思う。結局、一番こわいところはそこなのだ。
自分の頭で考えようとせず、マスコミに頼ろうとすれば、あっという間に僕らの方向性は変わる。
少しでも正しい知識を得る手がかりとして、多くの人に読んで欲しい。
戦争で死ぬことの実相
本書では、空襲や爆撃にあうということが実際どういうことなのか、あるいは「敵」というだけで残虐に殺し合う事実、報道や産業に関わって、間接に人殺しに参加していく状況などが淡々と描かれています。
戦争の日々を生きた人にとって、誰にも殺されたくない、誰も殺したくないというのが、率直な願いだったのではないでしょうか。そして今も戦争やテロの中に暮らす人々にとっても。
日本を戦争する国にするのかどうか考える際に、一つの重要な材料を提供してくれている本だと思います。
岩波書店
この時代に生きること、働くこと―9・11犠牲者遺族とジャーナリストのメッセージ (岩波ブックレット) ルポ解雇―この国でいま起きていること (岩波新書 新赤版 (859)) 戦争を記憶する―広島・ホロコーストと現在 (講談社現代新書) 自殺予防 (岩波新書) 帝国主義 (岩波文庫)
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