戦争と知識人 (日本史リブレット (65))



戦争と知識人 (日本史リブレット (65))
戦争と知識人 (日本史リブレット (65))

ジャンル:歴史,日本史,西洋史,世界史
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見取り図としては良さ気です。

 本書は、1948生まれの日本史研究者の手になる、1937−1945年の状況と知識人の動向の概観である。本書の基本的な立場は、「戦後の回想文などをみるかぎり、戦時期の受けとめ方は世代や経験の違いなどによって一様ではないが、「暗い谷間」と感じたか否かは、とりわけ時代への向きあい方にかかわっていたとみるべきであろう。」「戦時下の知識人の態度は、参加・転向・抵抗という基軸に即してみても多様かつ多義的であり、しかもそれらが相互に結び付いている場合が少なくない。したがって、その点を理解することなく、一つの図式や枠組みだけで戦時下の知識人を裁断することは、生きた(リアルな)歴史の把握にはならないであろう」という文に集約されている。その意図通り、状況への多様な「対応」が概観されているが、その分著者自身の「時代への向き合い方」が分りにくく、単なる事実の羅列に終わった感がなきにしもあらずである。もう少し明確に独自の「類型区分」を立てたり、自身の価値基準を明示したり、特定個人の戦前から戦後にかけての個人史を思想史と絡めて追っても良かったのではないか。もっとも、この種の研究は従来多数なされてきたと思われるので、それらとの差異化を図ったのかもしれないし、また紙数の制限もあろうが。また、そもそもなぜ「知識人」(定義は?)を問題にするのか、という点にも触れられていない。とはいえ、基本的な見取り図としては有益である。



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